本文へ移動

小さな会社の採用室少人数の採用を一緒に整理

メニュー

第5章 採用実務・ひな形解説

採用コストの計算方法広告費・紹介料・担当者の工数を整理

中途採用のコストは、求人広告費や紹介手数料だけでは全体像が見えにくいものです。実際には、掲載の準備、応募者への対応、面接の設定、入社後のフォローまで、担当者が使う時間もコストの一部になります。専任の採用担当がいない会社では、この「見えにくいコスト」が後から負担になりやすいので、先に整理しておくと安心です。この記事では、採用にかかる費用をどのように分けて考え、どこを自社で確かめればよいかを順番に整理します。

採用コストは「支払うお金」と「使う時間」に分けて考える

採用コストと聞くと、求人媒体への掲載料や紹介会社への手数料を思い浮かべる方が多いかもしれません。ただ、小さな会社では、それと同じくらい担当者の時間が効いてきます。支払うお金と使う時間を分けて書き出すと、どこに負担が集まっているかが見えやすくなります。

まずは、外部に支払う費用を項目ごとに並べます。求人広告の掲載料、採用支援サービスの利用料、紹介会社を利用する場合の紹介料、説明会や面接にかかる交通費や会場費などが代表的なものです。それぞれ、いつ・いくら発生するのかを確認しておくと、採用が長引いたときの負担も想像しやすくなります。

次に、社内で使う時間を書き出します。求人原稿の作成、応募者への連絡、面接の日程調整、社内の意思決定、入社手続きの準備など、担当者だけでなく面接に関わる人の時間も含めて考えます。金額に換算するかどうかは別として、誰の時間がどれだけ取られるかを把握しておくことが、次の判断につながります。

広告費は「掲載の期間」と「応募の集まり方」で見積もる

求人広告の費用は、掲載する媒体や期間によって考え方が変わります。同じ媒体でも、掲載枠の大きさや表示のされ方によって条件が異なることが多いため、まずは自社の募集職種と採用したい時期をはっきりさせてから見積もりを取ると比較しやすくなります。

費用を見積もるときは、掲載料そのものだけでなく、掲載を続ける期間も一緒に考えます。募集が長引けば掲載を延ばす判断が必要になり、その分だけ費用が積み上がる可能性があります。どのくらいの期間で応募が集まれば募集を続けるか、集まらなければ見直すか、という線をあらかじめ決めておくとよいでしょう。

媒体を選ぶときは、応募がどれくらい集まりそうかを自分たちの目で確かめる姿勢が大切です。媒体の営業担当者に説明を聞くだけでなく、同じ職種の求人がどのように掲載されているか、応募者から見て分かりやすいかを確認します。費用対効果は自社で測ってみないと分からない部分が大きいので、最初から大きな予算を投じるより、小さく試して結果を見る進め方もあります。

紹介料は「成功報酬の条件」を契約前に確かめる

人材紹介を利用する場合、採用が決まったときに支払う成功報酬が中心になります。このとき、報酬の金額だけでなく、いつ支払うのか、どの時点をもって「採用成立」とみなすのか、採用後に辞退や早期退職があった場合にどう扱うのかを確認しておくことが大切です。

また、紹介してもらえる人材の条件や、紹介のスピード感も会社によって異なります。自社が求める経験や働き方に合う人材を紹介してもらえるかは、事前の打ち合わせでどこまで伝えられるかにも関わります。求める人物像を言葉にしておき、紹介の進み方を確認しながら進めると認識のずれを減らせます。

契約の前に確認したいのは、費用の総額だけでなく、支払いのタイミングと条件です。提示された条件はサービスや時期によって変わるため、必ず公式の案内や契約書の内容で確かめてください。不明な点はそのままにせず、担当者に質問してから契約を進めましょう。

担当者の工数を金額に置き換えてみる

社内の時間をコストとして捉えるとき、すべてを金額に換算する必要はありません。ただ、担当者が1件の応募に対してどれくらいの時間を使っているかを把握しておくと、募集方法を見直すときの判断材料になります。例えば、応募者への連絡や面接調整にどのくらい時間がかかっているかを、何件か記録してみると傾向が見えます。

工数を金額に置き換える場合は、担当者の人件費を時間あたりに割って、かかった時間を掛ける方法があります。この計算は目安として使うもので、正確な原価を出すというより、他の業務と比べて採用にどれだけ時間が取られているかを実感するために役立ちます。

採用にかかる時間が大きくなっていると感じたら、応募者対応の手順を決めておく、よくある質問を用意しておくといった工夫で負担を減らせる場合があります。どの工程に時間がかかっているかを一度書き出してみると、見直す場所が具体的になります。

採用コストを抑えるために見直す順番

採用コストを見直すときは、いきなり媒体を減らすのではなく、順番を決めて考えると整理しやすくなります。まず、今回の募集で本当に必要な条件は何かを確認します。必須の経験やスキルを絞り込むと、応募の間口が広がり、結果として費用や時間の負担が軽くなる可能性があります。

次に、社内で対応できる範囲を見直します。応募者への返信や面接の設定を誰が担うかを決めておくと、担当者に作業が集中しにくくなります。複数人で手分けする場合は、連絡の抜けや重複を防ぐための簡単なルールを決めておくと安心です。

そのうえで、外部サービスの利用範囲を考えます。すべてを外部に任せるのではなく、自社で対応できる部分と任せたい部分を分けてから相談すると、必要なサービスを選びやすくなります。今は新しいサービスを導入せず、募集の出し方や選考の進め方を見直すだけでも効果がある場合があります。

募集を続けるか見直すかの判断基準をもつ

採用は、始めたら終わりではなく、途中で続けるか見直すかの判断が必要になります。あらかじめ「この期間で応募がどのくらい集まらなければ、掲載内容や媒体を見直す」という目安を決めておくと、状況に応じて落ち着いて判断できます。目安は自社の過去の募集や、同規模の会社の状況を参考にしながら、無理のない範囲で設定します。

見直しを考えるときは、応募が集まらない理由を一つずつ確認します。求人原稿の内容が実際の仕事と合っているか、応募者が知りたい情報が足りているか、応募の手順が煩雑になっていないか、といった点をチェックします。原因がはっきりしないまま媒体を増やすと、費用だけが膨らむ可能性があります。

採用活動を止める、または別の方法に切り替えるという判断も選択肢の一つです。募集を続けることで担当者の時間が取られ、本来の業務に影響が出ることもあります。自社の状況を定期的に振り返り、続けるか見直すかを決めていきましょう。

よくある質問

Q. 採用コストはどのくらいを目安に考えればよいですか。A. 職種や募集方法、地域によって大きく異なるため、一概に示すことはできません。まずは自社で支払う費用と使う時間を書き出し、複数の募集方法を比べてみることをおすすめします。

Q. 専任の担当者がいない場合、採用コストはどう管理すればよいですか。A. すべてを細かく記録する必要はありません。掲載料や紹介料などの支払いと、応募者対応にかかった時間を簡単に記録しておくと、次の募集のときに参考になります。

Q. 紹介会社を使うか迷っています。判断のポイントはありますか。A. 費用の条件と、自社で対応できる範囲を整理してから検討すると決めやすいです。契約前に、報酬の発生条件や支払いの時期を公式の案内で確認しましょう。

Q. 採用コストを見直すときに、最初に手をつける場所はありますか。A. 募集職種の必須条件を見直すことから始めると、応募の間口が広がり、結果的に費用や時間の負担が軽くなる場合があります。あわせて、応募者対応の手順も整理してみてください。